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人事制度の構築

人事制度導入の意義

 企業にとって「人事制度」はなぜ必要なのでしょうか。英語ではHuman Resource Management(「人」資源の管理)と呼ばれています。人事制度というより、、むしろ、「人材資源活用制度」と表現するのが適切だと思います。要は、「人」という資源をいかに有効に活用するか、その仕組みを作ることと考えてよいでしょう。

 従業員というのは、高価な機械や建物などの設備以上に企業にとっては非常に重要な「資産」です。「人事制度」は、この「人」の持つ力をできるだけ引き出すための仕組みだと定義することができます。人事制度を導入することにより、経営者にとって望ましい社員像、管理者像や、他社との競争に打ち勝つために期待する成果や行動などを明確に示すことができるようになり、このことが社員の能力向上だけでなく、管理者の育成、経営改善にもつながることとなります。

 社員にとっても期待されている成果や行動を知ることによって努力すべき方向が明確になり、そして、その努力の結果が公平に評価され適切な処遇がなされることによって、働き甲斐の向上と自己の能力向上の意欲がわいてくるとともに、経営参加の実感をも持てるようになるのです。

 尚、ここでいう「人事制度」とは、職能資格制度、人事評価制度、能力開発制度、賃金制度の総称としての制度を指すものとします。



人事制度のない企業の実情
 ところで、中小企業の人事制度導入について現状はどうなっているでしょうか。社員数100人未満の中小企業に限って言えば、人事制度らしきものさえまったくない会社が多数存在するというのが実態です。

 そしてお叱りを受けるのを覚悟で申し上げると、そのような企業の多くが直面している問題として、まず第一に、管理者が育っていないということです。社長と、その他の社員という二段階としか思えない組織実態の会社が多く、失礼ながら管理者とは名ばかりで、管理者の役割を果たしていない人も見受けられるのが実状です。

 第二に、社員の能力も伸ばされていないということです。実務能力の教育はされていても、その目標レベルは先輩のレベルまでであり、それ以上の能力向上は求められていません。それでも、教育を行っている会社はまだましな方で、まったく教育を行っていない会社が多数存在します。

 そして、第三は、社員自身も能力向上を意識していないということです。給料は働いた時間でもらうものだという考え方で、自分の能力を向上させようという意欲がない社員が多いことがもっとも重大な問題です。

 もちろん、これらのことが人事制度のない全ての会社に当てはまると言っているのではありません。創業後まだ数年で、他にもさまざまな制度が未整備な会社でも、社長の強力なリーダーシップの下、全社員一丸となって急成長を続けている会社はたくさんあります。

 しかし、そんな急成長している会社ほど人事制度を導入するのが早いのも、また、事実です。




人事制度導入で予想される問題点
 それでは、人事制度を中小企業に導入する場合にはどのような問題点が予想されるでしょうか。

 まず、一番目としては、S〜Dというような評価結果により昇給金額があらかじめ決められている評価制度を作っても、利益が無いときには評価結果に基づく昇給ができないということです。
 現在のような低経済成長下では、企業が常に利益をあげていけるという保証はありません。特に、環境変化の影響を受けやすい中小企業は尚更です。つまり、中小企業の人事制度は会社の適切な人件費を維持できる仕組みとしなければなりません。

 二番目に、資格等級制度はベテランを低い等級にしてしまう危険があります。資格等級制度を導入して、その等級に求められる能力に基づき、額面どおりに等級付けをすると、ベテラン社員が低い等級になってしまう恐れがあります。そのままに設定したときの、マイナス効果はあえて言わなくてもおわかりいただけることと思います。中小企業においては、この点も考慮した等級の決定が必要です。

 三番目は、総務部があるからといって、人事制度の運用を全て総務部だけに押し付けてしまうと、せっかく導入したにもかかわらず機能不全に陥ってしまうことがあるということです。
 もともと人事制度を運用できるような体制ができていないところへ(今までなかったのであたりまえですが)新たに大きな負荷が加わったことにより、人事制度どころかこれまでの業務も回らなくなってしまったという話をよく耳にします。このため、人事制度を導入した場合総務部が全て運用するのではなく、現場管理者が運用できる制度とすることが重要です。

 そして四番目は、評価の経験が皆無の管理者がほとんどで、適切な評価を下すことは難しいことです。評価の経験がない管理者でも、簡単に評価できる評価制度にする必要があります。

 以上、中小企業の人事制度は、これらの問題点を解決できるものでなくてはなりません。




当事務所が考える中小企業の人事制度とは
 人事制度に関する書籍等はたくさんありますが、そのほとんどはある程度の規模(おおよそ社員数500人以上)の会社を想定して書かれたものです。このため中小企業がそれをそのまま使おうとしても、なかなかうまくいくものではありません。
 中小企業には中小企業の実情に即した人事制度が必要であると考えます。

 当事務所は以下の点に重点を置いて人事制度設計をしております。
1.人が育つしくみづくりを第一としています
2.企業戦略や方針が反映できる評価システムをつくります
3.職場別のコンピテンシー(求められる社員像)に基づく評価システムにしています
4.昇給は企業予算に応じた総額管理型とします
5.現場で運用できるシステムとしています

 人事制度は、単に給与額を決定するだけのものではありません。どんなに優れた企業戦略があっても、それを実行する社員が能力不足、やる気不足では熾烈な企業競争に負けてしまいます。「企業は人なり」は今後さらに重要なキーワードになります。社員のやる気を引き出し、能力を向上させ、そして成果を上げさせるシステムこそが、中小企業に求められる人事制度だと考えます。

相田経営労務事務所
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