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退職金制度改革 | |
退職金制度に潜む問題点 中小企業をとりまくさまざまな問題の中で、見過ごされがちなのが退職金制度に関する問題です。中小企業の場合、大企業に比べて社員の高齢化の進展が顕著であり、将来、彼らに対する退職金の負担が重くなるという状況が容易に予想できるためです。 中小企業の社員の年齢構成を見ると、35歳から45歳くらいの社員が少なく、その前後に分布が分かれてしまっているなどの偏りが見られるケースが多くなっています。これは、35歳から45歳の年齢層がバブル期の採用難の時代に社会人となった世代であり、中小企業が人材採用に苦しんだ時期でもあるためです。 このため、バブル前に入社した45歳以上のベテラン社員と、バブル崩壊後に入社した35歳以下の社員とで年齢構成が二極化しており、この45歳以上のベテラン社員に対する退職金支給が今大きな問題となっているのです。 つまり、一方の多数派である彼らが定年を迎えるこの15年の間、企業は退職金支払いのために毎年のように多額の資金を捻出しなければならなず、総額にすると莫大な資金が必要になるということです。もしこの資金を捻出できなかった場合、「退職金倒産」という最悪のケースも考えられるのです。「ない袖は振れない」では逃げ切れません。 ところが、このように非常に重大な問題にもかかわらず、自社の退職金制度に対して危機感を抱いている経営者は少数派であり、保険会社等にまかせっきりで、自社の採用している退職金制度の内容すらよく把握していないという方も、失礼ながら、少なくありません。 退職金制度を改定する場合、これらのことをふまえて、まず自社の現状を分析し、問題があればどう対処するかを十分検討した上で、持続可能な制度を採用することが必要です。退職金要支給額は毎年確実に膨れ上がっています。退職金制度改定の着手が遅れれば遅れるほど、会社の負担は重くなるのです。 退職金制度の現状 日本の退職金制度で最も一般的なものは、最終給与比例方式(基本給連動型)と呼ばれるもので、以下の計算式に基づき退職金が計算されるものです。 <退職時の基本給×勤続年数に対応した支給係数(月数)×退職理由係数> この退職金制度は非常にわかりやすく、社員の同意も得られやすいため現在も多くの企業で採用されていますが、今後もこの制度を維持継続していくというのはいささか賛同しかねる部分があります。なぜなら、賃金制度が能力や業績を重視したものに移行しつつある中で、退職金制度だけを旧態依然の年功色が強い制度のままにしておくのは、現在のような低経済成長下で、しかも環境変化の激しい中熾烈な競争を生き抜いていかなければならない企業の選択肢としてふさわしいとは思えないからです。 この制度の場合、勤続年数が同じならば、多少役職が違っても支給額にはそれほど差がつきません。一見公平のように見えますが、会社の発展に貢献した人も、貢献しなかった人も、退職金額はほとんど変わらないということです。極端な話、仕事はそこそこの人も無事定年を迎えさえすればそれなりの退職金をもらえるわけです。 頑張ってきた人にとっては、なんとも不公平な制度といえるでしょう。確かに、普段から将来の退職金のことなど考えている社員はほとんどいないから退職金くらいはそのままでいい、という意見もあります。しかし、年に一度だけでも、頑張ってきた結果が将来の退職金にも反映されるのだということを意識する機会があれば、社員のモラルや、やる気は大いに高まることでしょう。 それが、これからご紹介するポイント制退職金制度なのです。 ポイント制退職金制度 在職中の貢献度を退職金支給額に反映した退職金制度がポイント制退職金制度です。社内の等級や勤続年数に基づき、退職金算定のためのポイントを設定し、その合計に単価を乗じることによって退職金支給額を決定するというものです。 具体的には、まず等級ごとに単年度あたりの付与ポイントを設定します。たとえば社内等級が5等級の会社の場合、1等級は5点、2等級は10点、3等級は15点・・・・5等級は30点という具合です。 勤続年数も考慮する場合は、勤続20年未満は10点/年、20年以上は20点/年というように勤続ポイントを設定し、退職時までに獲得した等級ポイントと勤続ポイントを足したものが退職金ポイントになります。ポイント単価は通常10,000円で設定し、退職金ポイントに乗じた金額が退職金額となります。 42年間勤続して定年退職する人の場合、勤続ポイントが上記の設定どおりなら650点となります。そして、順調に5等級まで昇格し、等級ポイントが850点で退職する人であれば、合計した1,500点が退職金ポイントということなり、退職金額は1,500万円になります。 逆に、まったく昇格できずに1等級のまま定年を迎えると、等級ポイントは210点で、勤続ポイントと合わせても860点にしかならず、退職金額も860万円と、順調に昇格した人とは大きな差がつくことになります。 つまり、早く上位等級に昇格し重要な業務を担い、会社に貢献した人ほど、退職金もたくさん受け取れるシステムなのです。 退職金ポイントが何点たまっているかは、毎年、人事考課の結果とともににフィードバックすることを基本とします。このため、どのようにすれば退職金が増えるのかがわかるため、社員の動機付けには非常に有効な制度といえるでしょう。 適格退職年金の他制度移行 適格退職年金制度は平成24年3月をもって廃止されます。したがって、採用している企業はそれまでに解約するか、他の制度に資産を移管する必要があります。 制度の移行先として、中小企業に選択されることが多いのが確定拠出年金(日本版401k)と、中小企業退職金共済(中退共)です。 確定拠出年金の特徴は、会社が等級別などで毎月の掛金を拠出し、それを社員が自己責任で運用し、その結果が将来の年金となるというものです。会社に運用のリスクがなくなるのがメリットですが、もちろんデメリットもあります。 1つ目は、中小企業においては投資経験のある社員が少なく、自己責任による資産運用を行わせるのは難しいこと、2つ目は、中途退職しても60歳まで引き出しができないため、人の出入りが多い会社には向いていないことです。 一方、中小企業退職金共済の特徴は、会社は5,000円〜30,000円の範囲で毎月掛金を拠出し、それを中退共が一定の予定運用利回り(現在年1%)で運用し、掛金月額と納付月数に応じた退職金が支払われるというものです。 運用利回りが予定運用利回りを上回った場合は、その分の金額が基本退職金に上積みされます。 メリットとしては、適年の解約返戻金を全額移管できること、過去の積立不足を穴埋めすることなく制度移行ができること、自社の運用リスクがなくなること、掛金月額を等級別等で設定することにより、貢献度に応じた運用も可能なことなどです。 デメリットは、納付期間が12ヶ月未満の場合は没収、24ヶ月未満の場合は元本割れとなること、自己都合退職など、退職理由に応じた支給額の設定ができないことなどです。また、予定運用利回りも保証されたものではありませんが、現在の1%という数字は景気が上向きの状況の中では保守的と言えるかもしれません。 以上、確定拠出年金と中小企業退職金共済の簡単な比較となりますが、メリット、デメリットを十分検討し、自社の実情にあった制度を選択することが重要です。 適年加入企業の大半が当初の予定利率(年5.5%)の見直しを行っていないため、移行を先延ばしにすればするほど、積立不足が膨れ上がる可能性があります。該当する会社は早急に制度移行の検討をおすすめします。
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