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労務相談 Q&A 

サービス残業解消の取り組みについて

Q.最近、労働基準監督署からサービス残業を指導され、多額の割増賃金を支払ったという記事を目にします。当社においても出勤簿による管理で、残業時間も自己申告制としています。ただ、月の残業時間数に上限を設けているため、実際の残業時間数より少なめに申告されているのが実態です。指導を受けないよう、今後どのような取り組みが必要でしょうか。

A.厚生労働省から「労働時間の適正な把握のための使用者が講ずべき措置に関する基準」というものが示されています。それによると、「始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法」として、@使用者が自ら現認することにより確認し、記録すること、Aタイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること、の2つの方法が示されています。
 また、原則的な労働時間の把握が困難で「自己申告制により行わざるを得ない場合」には、@事前に対象労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと、A自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること、B時間外労働時間数に上限を設定するなどの措置を講じないこと、の3つの要件を示しています。
 しかし、職場の中に、多少のサービス残業があってもしかたがないといった、労使双方の意識(職場風土)等があることもあり、使用者が適正な労働時間の把握に努めるだけでは、根本的な解決にはならないのが現状です。たとえば、サービス残業解消に向けての社内プロジェクトチームの結成等により、現状分析と合わせて、労使双方の意識改革をすすめていくことも必要です。



営業社員のみなし労働時間の適用
Q.当社では、現在営業社員の労働時間制度について検討しているところです。1日の大半が外勤となるため、会社と連絡が取れるよう、全員に携帯電話を持たせ、随時、管理職が業務指示を与えようと考えています。このような場合、事業場外みなし労働制の適用となりますか。

A.事業場外で業務に従事する場合であっても、使用者の具体的な指揮監督が及んでいる場合については、労働時間の算定が可能であるので、みなし労働時間制の適用はありません。具体的には、@何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、メンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合、A事業場外で業務に従事するが、無線や携帯電話等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合、B事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的な指示を受けた後、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後事業場にもどる場合、がこれに該当します。ご質問のケースは、Aに該当するため、事業場外労働に関するみなし労働時間制の適用はありません。



遅刻してきた社員が残業したときの割増賃金

Q.当社は月給制ではありますが、社員がやむをえない理由以外で1時間以上遅刻した場合、その分の賃金をカットしています。先日、私用で1時間遅刻してきた社員がいたため、その日の残業時間の1時間は割増賃金扱いとはしませんでした。問題がありますでしょうか。尚、当社の所定労働時間は8時間です。

A.労働基準法上、時間外労働として割増賃金を支払わなければならないのは、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えて労働させた場合です。1時間遅刻して、その日に1時間残業しても、その日の労働時間が8時間を超えていないのであれば割増賃金を支払う必要はありません。月給制の場合、遅刻は賃金カットせずに、賞与の査定や人事考課等に反映されるケースが多いですが、月給制であろうと、日給月給制であろうと8時間を超えなければ割増賃金の必要はありません。
 ただし、就業規則等で終業時間後の残業には割増賃金を支払うと定めている場合は、遅刻分を通常賃金から1時間カットして、残業分の1時間は125%の割増賃金を支払う必要があります。



休職期間満了による退職・解雇と解雇予告

Q.当社の休職制度においては、休職期間満了の時点で復職できない者はこれを解雇する旨を定めていますが、他社の規定を見ると休職期間満了により自動的に退職となることとしている例が多いように思います。問題はないのですか。

A.ご指摘のように、休職期間が満了してなお復職できない場合の取り扱いについては、これを解雇事由とする例と、自動的に退職となる事由とする例が見られますが、後者の例が多いようです。こうした休職制度の内容について労基法上の特別の規制はありません。
 もっとも、明らかに労基法の規制する解雇制限を免れることを目的として定められたような制度内容であったり、ごく短期間の欠勤休職制度であって解雇予告制度その他の解雇に関する規制を免れることを目的としたような制度内容については、その効力は否定されるものと思われます。
 そのような問題がない自動退職事由を定めた休職制度であれば、その休職期間が満了してなお復職できない場合には、雇用契約は当然に終了することになり、これは解雇ではないということになりますから、労基法の定める解雇予告制度の適用もないということになります。



有期契約の更新拒否と解雇

Q.
当社ではパートタイマーや嘱託の雇用に際し、1年の期間雇用の形をとっています。近く二回目の更新時期を迎えるパートさんがいますが、この人は最近欠勤も多くなり、あまり勤務状況がよくなく、周りの者からも苦情が出ています。このため、今回は契約の更新をしないようにしたいのですが、解雇予告は必要でしょうか。

A.期間の定めのある労働契約については、その期間満了により契約が終了するのが建前ですから、解雇の問題は生じないのが原則ですが、契約が反復更新されているような場合には、そうした建前どおりの評価をすることはできません。
 厚生労働省により「有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準」が告示として定められており、それによると、1年を超えて継続勤務している者(契約を更新しないことが明示された者を除く)を更新しないこととする場合は期間満了の30日前までにその予告をする、となっています。
 ご相談のケースも、契約期間満了の30日前までに予告をする必要があります。



解雇予告の必要な場合・不要な場合

Q.
労働者を解雇する場合に、予告または予告に代わる手当の支給が義務付けられているということですが、どのような場合に必要なのでしょうか。たとえば、懲戒解雇のような場合にまで手当を支払わなければならないのでしょうか。

A.労働基準法第20条は、解雇予告について、原則として解雇の30日前までに予告をするか、予告をしない場合は30日分の平均賃金を支払うことを使用者に義務付けています。
 これに対する例外としては、全ての従業員に共通するものとして、@天災事変その他のやむを得ない事由により事業の継続が不可能となった場合、A労働者の責めに帰すべき事由により解雇する場合、とがあります。ただし、いずれの場合も、所轄労働基準監督署長の解雇予告除外認定を受けなければなりません。
 次に、一定の労働者についてのみの特例としては、労働基準法第21条の規定として、@日々雇用者(1ヶ月を超えて継続雇用された場合を除く)、A2ヶ月以内の期間雇用者(所定期間を超えて継続雇用された者を除く)、B季節的業務に従事する4ヶ月以内の期間雇用者(所定期間を超えて継続雇用された者を除く)、C試用期間中の者(14日を超えて継続雇用された者を除く)、があります。
 注意が必要なのは、懲戒解雇の場合についても解雇予告制度の適用があるということです。つまり、たとえば従業員が懲戒解雇に該当するような行為により解雇される場合であっても、使用者は解雇予告除外認定を受けない限り、解雇の予告をするか、予告せず即時解雇をするのであれば予告に代わる手当(解雇予告手当)を支払わなければ労働基準法違反として罰せられることになるのです。
 解雇予告や解雇予告手当を支払いたくないのであれば、必ず解雇予告除外認定を受けるようにしてください。



無断欠勤し、出社しなくなった者の取り扱い
Q.
ある従業員が今月に入ってから連絡なく欠勤しています。電話しても通じず、住所に行ってみても不在で会社の方からの連絡が取れません。当社の就業規則では、正当な理由がなく無断欠勤が14日以上に及んだ場合は懲戒解雇とする、と定めていますので、手続を取りたいと思いますが、注意点等があれば教えてください。

A.欠勤が、正当な理由によるものか否かは明確でありませんが、仮に特別な事情はないとしますと、会社の方から連絡を試みても連絡がつかないということですから、出勤の督促に応じない、という労基法の解雇予告除外認定の基準には合致するものと思われます。事件事故に巻き込まれたことが考えにくいのであれば、本人の責任で無断欠勤しているという前提で対応を決めても問題とはいえないでしょう。手続で注意しなければいけない点としては、解雇をする場合、解雇の意思表示が相手方に到達していなければなりませんが、相手方が所在不明のため、簡易裁判所を通じて公示送達という方法を取る必要があるということです。



休憩カットによる終業時刻の繰上げ
Q.パートタイマーの中に、休憩時間をなくして早く帰りたいという希望を述べる者がいますが、休憩を希望しない者にも強制的に休憩させる必要があるのでしょうか。

A.労働基準法の各種労働条件の定めは、いわゆる強行法規であり、労使当事者の合意によってもその適用を排除することはできません。このため、労基法上休憩を与えるべき義務のある場合に、従業員がこれを希望しないからといって休憩を与えないことはやはり違法なのです。
 労働基準法第34条において、実労時間が1日6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は60分を、労働時間の途中に与えなければならないと定めています。したがって、休憩が不要なのであれば、6時間以内の勤務パターンの設定を検討するしかありません。



定年後再雇用者の年休はどうなるか
Q.当社では定年を60歳としていますが、65歳までの雇用の機会を再雇用制度によって設けようと思います。その場合、各種処遇条件の変更を伴うことになりますが、年次有給休暇については法的にはどう解釈されるのでしょうか。

A.労働基準法の年次有給休暇の規定の適用に関しては、継続勤務とみるか否かで大きな差異が生じます。行政解釈では継続勤務とみなすケースの1つとして、「定年退職による退職者を引き続き嘱託等として再採用している場合(退職手当規定に基づき、所定の退職手当を支給した場合を含む)。ただし、退職と再採用の間に相当期間が存し、客観的に労働関係が断続していると認められる場合はこの限りではない」と規定しています。
 したがって、定年により一度退職し、相当期間経過した後に再雇用されたといった特殊な場合を除けば、年次有給休暇についてはこれを継続勤務しているものとして取り扱うことが必要となります。



賞与査定上、年休を欠勤と同視できるか
Q.賞与査定の要素の一つとして、算定期間中の出勤状況を用いていますが、これまで、実際に出勤したか否かということから、年次有給休暇も実際には出勤していない以上、他の不就労と同じ取り扱いとしていました。労基法には、年次有給休暇を理由とした不利益取り扱いが禁止されているということですが、このような取り扱いは違法となるのでしょうか。

A.労働基準法第136条には、「有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」とする条文が設けられています。「しないようにしなければならない」という法規制の法的効果がどのようなことか難しいものがありますが、行政解釈ではこの年次有給休暇の取得に伴う不利益取扱いについて、次のように述べています。
 「精皆勤手当及び賞与の額の算定等に際して、年次有給休暇を取得した日を欠勤として、又は欠勤に準じて取り扱うことその他労働基準法上労働者の権利として認められている年次有給休暇の取得を抑制するすべての不利益な取扱いはしないようにしなければならないものであること」。
 労働基準法第136条の違反については、罰則は伴わず、また直ちに制度内容を無効とするものではありませんが、行政指導の対象となることが予想されますので、できるだけ早めに制度内容の再検討を図られることが適当と思われます。

相田経営労務事務所
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